中国植物名は淫羊藿(いんようかく)と言われ、威龍、超威龍の主成分となっている。
地方によって、カグラバナ、ヨメトリグサともよばれる
生薬
薬効は、インポテンツ(陰萎)、腰痛のほか、補精、強壮、鎮静、ヒステリーに効用があるとされる[4]。
全草は淫羊霍(いんようかく、正確には淫羊藿)という生薬で精力剤として有名である。
淫羊霍とは、5 – 6月頃の開花期に茎葉を刈り取って天日干しにしたもので、市場に流通している淫羊霍は、イカリソウの他にも、トキワイカリソウ、キバナイカリソウ、海外品のホザキノイカリソウ(ホザキイカリソウ)も同様に使われる。
本来の淫羊霍は中国原産の同属のホザキノイカリソウE . sagittatum (Sieb. et Zucc.) Maxim.(常緑で花は淡黄色)で、名はヒツジがこれを食べて精力絶倫になったという伝説による。
ホザキノイカリソウの淫羊霍に対して、イカリソウの方を和淫羊霍とすることもある。
イカリソウの茎葉には有効成分としてはイカリインというフラボノイド配糖体と、微量のマグノフィリンというアルカロイドなどが含まれ、苦味の成分ともなっている。充血を来す作用があり、尿の出を良くする利尿作用もあるとされている。
イカリインには実際に次のような効果が示されている。
- 一酸化窒素 (NO) レベルの上昇。
- ホスホジエステラーゼ (PDE)-5に対する弱い阻害作用。
これらにより平滑筋が弛緩し陰茎などの血流が増えると考えられる。PDE-5の阻害は(かなり弱いが)バイアグラと共通の作用である。マウスを用いた実験で、男性ホルモン様の作用が報告されている。
民間利用では、滋養強壮に淫羊霍を粗く刻み、1日量5 – 10グラムを約500 – 600 ccの水で30分ほど半量になるまで煎じて、食間に3回に分けて温服される。
また低血圧、不眠症に焼酎(ホワイトリカー)1.8リットルあたり淫羊霍70 – 150グラムを入れて寝かせた後、就寝前の滋養薬酒として1日1回お猪口1杯程度を目安に、水や湯で割って飲用もされる。
体を温める作用があることから、手足の冷え症や、冷えから来る腰痛症、下半身が疲れやすい人のインポテンツによいとされる一方で、火照りやすい人やのぼせやすい人への服用は禁忌である。