イライラ、不安、抑うつ

ストレスによる心身の不調は漢方治療が有効

イライラ、不安、抑うつなどの精神症状は、さまざまな心身の病気にともなって見られ、うつ病や不安心障害などで重症の場合や緊急を要する場合などは、精神科での西洋医学的な治療が優先されますが、ストレスの影響で心身の不調が生じているような場合には、漢方治療が有効なことも少なくありません。

漢方では「気」の異常や「肝」「心」の失調ととらえる

漢方ではこうした心の状態を「気血水」の「気」の異常、あるいは「五臓」の「肝」や「心」の失調ととらえて治療を行い、用いる薬は、ほかの症状や体力などに応じて選択され、心身両面の不調の改善をはかります。

頭に血が上っていらいらするような「気逆」がえれば、「桂枝加竜骨牡蛎」、気分が落ちこむ「気うつ」では「半夏厚朴湯」「柴胡加竜骨牡蛎湯」などが、気力がない「気虚」では「加味帰脾湯」などが用いられます

「肝」の失調とみられる興奮性の精神症状には「抑肝散」などが用いられ、更年期の精神症状であれば、「加味逍遥散」が広く用いられ、「心」の失調ではイライラや焦燥感が亢進し易く、「黄連解毒湯」や「甘麦大爽湯」などが用いられます。

「心」の失調ではイライラや焦燥感が亢進しやすく、「黄連解毒」や 「甘麦大爽湯」 などが用いられています。

うつ病における漢方治療

うつ病の場合は、基本的に西洋医学での治療が優先されますが、軽いうつ状態には漢方薬も用いられています。「補中益気湯」「柴胡加竜骨牡蛎湯」など、抑うつ症状にともなう食欲不振、全身倦怠感、疲れやすさなどの症状を改善する効果が認められている漢方薬もあります。抗うつ薬を服用していても、体調がすぐれない、元気が出ないというときに、漢方薬の併用が役立つことがります。

高齢者のイライラや不眠の改善に

高齢者のイライラや不眠は、認知症などの病気が原因となっていることがあります。認知症自体は西洋医学でも知rちうが難しいのが現状ですが、それに伴うイライラや不眠などの行動・心理病状の改善には、漢方薬が役立つことがあります。最近では「抑肝散」や「釣藤散」などの有効性が認められたいます。

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不眠

高齢になrと不眠に悩む人が多くなる

不眠とは本人が満足できる睡眠時間や睡眠の質が得られない状態が続いて、日中の生活に支障をきたしているような状態をいい、一般に、睡眠時間は加齢とともに減少し、高齢になれば若い時より短くなり、眠りの質の変化もあり、高齢になると不眠を訴える人が多くなります。不眠の中でも、夜中に何度も目が覚める中途覚醒や、朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒は、特に高齢者に多く見られ、病気や副作用が原因のこともあります。

不眠への対処法としては、原因があればそれを取り除いたり、不眠を招きやすい生活習慣の改善をはかることが大切です。それでも不眠が続いてつらい場合、西洋医学では不眠のタイプに応じた睡眠薬が用いられます。現在不眠の治療に使われている睡眠薬は安全性の高い薬ですが高齢者の場合は副作用が発生しやすい傾向もありますので、睡眠薬を使いにくい人では漢方が有用な治療手段となります。

漢方では不眠以外の症状もあわせて改善する薬を用いる

不眠に悩む人は、他にも何らかの体調不良を抱えている人が多いので、漢方では、全身の働きを整えて、不眠が起こらないような状態を目指します。そのため、不眠以外の症状も含めて病気をとらえ、あわせて改善する薬が選択されます。

例えばイライラがあれば「抑肝散」、心身の疲労が強ければ「酸棗仁湯」、虚弱で取り越し苦労の傾向があれば「帰脾湯」などが用いれらます。抑うつが強い場合には「柴胡加竜骨牡蛎湯」、不問が強い場合には「桂枝加竜骨牡蛎」などが有効なこともあります。

注意が必要な睡眠薬の副作用

西洋医学の睡眠薬では下記のような副作用が起きる危険性もある
●持ち越し効果
 起床後まで眠気やふらつきが残る
●筋弛緩
 筋肉に力が入らず転びやすくなる
●記憶障害
 薬が効いている間の記憶が抜け落ちる
●習慣性
 連用すると習慣性が生じ、急にやめるとかえって不眠になる
特に高齢者の場合は、ふらつきや転倒が骨折やその後の寝たきりにつながりかねないので要注意です。

皮膚の乾燥、かゆみ

加齢とともに皮膚が乾燥し、かゆみが起こりやすくなる

特に、皮疹がないのにかゆみがあり、引っ掻いてしまうような状態を「皮膚掻痒症」と呼び、さまざまな原因で起こり、全身性の病気の症状として現れることもあります。

高齢になると、皮膚の皮脂腺の働きが衰えたり、角質層が薄くなったりして、皮膚が乾燥しやすくなります。皮膚がカサカサして白く粉を吹いたようになった状態になり、空気が乾燥したり志垣が加わったりすると痒くなり、特に冬場は皮膚の乾燥が強まり、すねや腰回り、腕などのかゆみが強くなる傾向が有ります。これが「老人性皮膚搔痒症」で、高齢者のかゆみで最も多いものです。

痒いからといってかいてしまうと、その刺激で更にかゆみが強くなり、悪循環を断つには、かゆみを抑えることが大切です。

西洋医学では、かゆみに対して抗ヒスタミン薬を用いたり、保湿剤を塗ったりする治療が行われていますが、漢方では、乾燥した皮膚を潤すような薬を用いてかゆみを押さえます。

高齢者のかゆみには「当帰飲子」などが用いられる

高齢者に多くみられるような皮膚の乾燥にともなうかゆみは、「血」の量が不足した「血虚」や「腎」が衰えた「腎虚」などととらえられ、皮膚の乾燥や荒れは「血虚」の典型的な症状で、そういった人には「当帰飲子」「温清飲」などがよく用いられます。
「当帰飲子」は高齢者のかゆみに使われる代表的な薬で、「温清飲」は炎症を抑える薬「黄連解毒湯」と乾燥を潤す薬「四物湯」を合わせた処方です。

また、下肢の冷えや夜間頻尿があるなど「腎虚」の徴候があれば、「八味地黄丸」や「牛車腎気丸」などが考えられます。そのほか、体力が低下して冷えが強い人なら「真武湯」などが有効なこともあります。皮膚のトラブルは、胃腸の不調など全身的な体調不良によって起きていることも多く、漢方では、皮膚症状以外の不調もあわせて改善をはかっていきます。

乾燥にともなうかゆみを防ぐ日常の注意

空気の乾燥に注意
 特に冬は加湿器を用いるなどして、室内の空気が乾きすぎないようにする。
皮脂をなるべく落とさない
 入浴の際、熱い湯につかる、石鹸をたくさん使う、ゴシゴシ肌をこするなどは避ける
入浴剤の成分に注意
 硫黄入りの入浴剤には角質層を剥がす働きがあるため、皮膚の乾燥を強めやすい
皮膚への刺激を避ける
 爪でかいたり、ゴワゴワした服でこすらない

湿疹・皮膚炎

皮膚証状はカサカサか、ジクジクカか化膿している

湿疹・皮膚炎とは外からの刺激によって、皮膚が赤く腫れたり、小さなぶつぶつができたり、カサカサしたり、ただれたりといった、かゆみを伴うさまざまな皮疹ができるモノを言い、代表的なのがアトピー性皮膚炎です。

湿疹・皮膚炎に対する西洋医学の治療では、ステロイド外用薬、保湿剤など用いられており、かゆみが強い場合には、内服の抗ヒスタミン薬などを併用し、治りにくい慢性の湿疹・皮膚炎には漢方治療も有用です。

漢方では病名にこだわらず、皮膚症状と体力や体質、全身の病態などに応じて処方が決められ、皮膚症状では、乾燥してカサカサ状態か、分泌物が多くてじくじく湿った状態か、化膿しているかなどがポイントになります。

漢方薬の併用によりステロイド薬の減量効果も

アトピー性皮膚炎などで皮膚の炎症の強い時は、ステロイドの外用薬が必要になることもありますが、副作用を心配して使いたくないという人も少なくありませんので、必要な時だけ正しく使うようにすれば、皮膚の炎症を鎮めるには非常に有効な薬ですし、
漢方薬を併用することで、ステロイド薬の使用量を減らせることもあります。

ステロイド外用薬と漢方治療

慢性的な湿疹・皮膚炎などでステロイド外用薬を使用している場合、急に使用を中止すると、抑えられていた炎症がぶり返し、症状が一気に悪化することがあるので注意が必要です。

漢方薬を用いる場合も、まずはステロイド外用薬と併用し、状態がよくなったら皮膚科医とも相談して、段階的に作用の弱いステロイド薬に替えたり、症状のヒドイところだけに塗ったりして徐々に減らします。

アトピー性皮膚炎などの皮膚症状は、精神的なストレスによっても悪化することが知られており、神経過敏になりイライラが強いような状態を漢方では「肝の失調」ととらえますが、それに対する「加味逍遥散」「抑肝散」「抑肝散加陳皮半夏」なおの薬が、皮膚症状の改善にも役立つことがあります。

母親がいらいらすると子供のアトピー性皮膚炎まで悪化する例もありますので、昔から言われる「母子同服」で、母親もいっしょに漢方薬を飲む方法も考えられます。

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にきび

西洋医学では外用薬と内服の抗菌薬が用いられる

にきびは、皮脂の分泌が盛んな思春期になるとできやすくなり、分泌量が多くなりすぎた皮脂や、皮膚の表面からはがれた角質が毛穴に詰まるのが始まりで、「白にきび」と呼ばれます。

そこに「にきび菌」が増殖して、炎症を引き起こすと、赤く盛り上がった「赤にきび」になり、さらに悪化すると、化膿して毛穴に膿がたまり、こじらせれば皮膚に凸凹の痕が残ってしまいます。青春のシンボルともいわれますが、にきびは大人にも見られます。

西洋医学では、患部に塗る外用薬を中心に、症状が重い場合は内服の抗菌薬が併用されますが、抗菌薬の長期連用には副作用や耐性菌の心配もあり、漢方が役立つこともあります。西洋薬と漢方薬の併用も良く行われます。

漢方薬では「荊芥連翹湯」や「十味敗毒湯」がよく使われる

漢方では、体力が中くらいの人で、慢性化して皮膚が浅黒くなっているなら「荊芥連翹湯」、化膿を繰り返すようなら「十味敗毒湯」がよく使われます。

比較的体力のある人の化膿したにきびには「清上防風湯」、体力がない冷え性の人の白にきびには「当帰芍薬散」、など、体力・体質や症状に応じた薬を使って体の内側から治していきます。

漢方が向く皮膚病、向かない皮膚病

皮膚の病気で、一般的に漢方治療適するとされるのは、にきび、アトピー性皮膚炎、などの慢性の湿潤・皮膚炎・老人性皮膚掻痒証など、治療が長期にわたるものです。

西洋医学の外用薬と漢方薬の併用も良く行われ、とひび、ヘルペスなどの感染症では、通常、西洋薬の抗菌薬や抗ウイルス薬が優先されます。

「標治」と「本治」

皮膚の病気は症状を目で診ることができるため、それを改善することが治療の大きな目標になります。このように体表に現れた症状を取る治療を漢方では「標治」といい、例えば炎症がおきて赤みが強いなら熱を冷まして炎症を抑える薬が、皮膚が乾燥しているならうるおす薬が用いられます。

皮膚は心身の鏡でもあり、皮膚症状を生じる根本的な原因は全身状態にあるとも考えられます。それに対して行われるのが「本治」で、いわゆる体質改善的な治療です。「本治」はある程度長期にわたって取り組むことになります。

しびれ、神経痛

中枢・末梢のさまざまな神経障害によって起こる

手のしびれや痛みは手に原因があることもあれば、その神経が出ている頚椎で根元が圧迫されていることもあり、中枢神経や末梢神経のさまざまな障害によって起こります。早急に神経の圧迫を解消する必要がある場合などは、西洋医学の治療が優先されますが、症状の軽減には漢方も役立ちます。

「気血水」の流れの悪化や「腎虚」ととらえて治療を行う

漢方では、しびれや神経痛が起こる病態を「水滞」「血虚」「瘀血」「腎虚」とさまざまな方向からとらえ、主となる病状から処方が検討されます。

「水滞」がある場合「虚証」で冷えをともなう人には「桂枝加朮部湯」がよく用いられ、「血虚」を主とする場合は、手足の冷えが強ければ「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」、冷えがあまりなければ「疎経活血湯」などが用いられます。「瘀血」がみられれば、「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸「桃核承気湯」などの「駆瘀血剤」が用いられます。

「腎虚」を主とする場合、中高年の下半身の冷えをともなうしびれや痛みには「八味地黄丸」がよく用いられ、よりむくみやしびれが強ければ「牛車腎気丸」、手足のほてりがみられれば「六味丸」が向きます。

糖尿病性神経障害の自覚症状も改善

糖尿病の合併症として起こる神経障害では、しばしば頑固なしびれが患者さんを悩ませますが、こういったしびれにも、漢方薬が役立つことがあります。
西洋医学の治療では広く用いられているメコバラミンと「牛車腎気丸」を用いた比較研究では、12週間以上の使用によって、メコバラミンでは約37%、「牛車腎気丸」では約70%に自覚症状の改善がみられたと報告されています。

神経痛に用いられる漢方薬

●三叉神経痛
 葛根湯、葛根加朮部湯、五苓散
●肋間神経痛
 当帰湯、柴陥湯
●帯状疱疹
 急性期の神経痛には、葛根湯、越婢加朮湯、五苓散
 帯状疱疹後神経痛には、附子を含む漢方薬など 

関節の痛み・腫れ

西洋医学での診断も考慮して漢方治療が行われる

関節の痛みや腫れは、関節の炎症によって起こりますが、原因として、加齢とともに増えるのが、関節が徐々に変化して起こる「変形性関節症」です。

なかでも患者さんが多いのが「変形性関節症」で、膝関節の軟骨がすり減り、炎症が生じて痛みが起こります。炎症が続くと、関節液が過剰に分泌され、膝に水がたまって更に痛みが増します。

西洋医学の治療では、痛み止めの非ステロイド抗炎症薬などを用いる薬物療法療法や、運動療法・装具療法・温熱療法などの理学療法が中心になり、関節の変形が強い場合は手術も検討され、漢方療法も、西洋医学的な診断をふまえて、薬物療法のひとつとして行われます。

変形性関節症には「水滞」を改善する薬がよく用いられる

漢方では、変形性関節症のように、関節に水がたまって痛みや腫れがある状態を「水」の流れが滞った「水滞」ととらえ、膝の腫れが強い場合は「防己黄耆湯」がよく用いられます。

汗かきで肥満があるような人に特に向く薬で、西洋医学の治療で使われる非ステロイド抗炎症薬のとの比較研究でも、すぐれた効果がみられ、両者の併用によりさらに高い効果が得られることも明らかにされています。

そのほか関節が熱を持っている場合には「越婢加朮湯」などが、冷えると痛みが強くなる人には「桂枝加朮部湯」などが用いられます。

関節リウマチでも西洋薬と併用されることがある

免疫の異常によって関節に炎症が起こり、進行とともに関節が破壊され、関節の痛みや腫れが起こる代表的な病気に関節リウマチがあります。
治療は西洋医学の薬物療法が中心になりなりますが、症状の緩和に漢方薬が役立つこともあります。

比較的初期の関節の痛みや腫れには「桂枝加朮部湯」「越婢加朮湯」「防己黄耆湯」が、関節が変形して動くのがつらいような場合には」「大防風湯」「桂芍知母湯」が用いられます。

変形性膝関節症に対する併用の効果

変形性膝関節症で膝に水がたまっている患者さんを「防己黄耆湯」、非ステロイド抗炎症薬、両者併用の3郡に分けて8週間服用し、その効果を比較した研究で、併用が最も改善度が高かったと報告されています。

肩こり

肩こりの背景にある原因は多様

肩こりとは、肩から首、背中あたりがこわばって痛みを訴える状態を指し、酷くなれば、腕のほうまで重だるくなったりすることもあり、整形外科の診断では「頚肩腕症候群」ともいわれます。

主な原因は、筋肉が疲労して固く緊張し、血行不良になることで、悪い姿勢やストレス、冷え、運動不足があると肩こりが起こりやすくなります。女性ではホルモン分泌の変化がかかわっていることもあります。

しかし、同じような症状は、頚椎の変化による神経の圧迫や、内臓などの病気によっても現れることもあるため、医療機関では必要に応じて識別のための検査が行われます。

筋肉疲労による肩こりであれば、体操をしたり心身をリラックスさせることで楽になることがおおのっですが、コリや痛みが強い時には、薬も用います。西洋医学では、非ステロイド抗炎症薬や筋弛緩薬などの内服薬、あるいは湿布薬や塗り薬などが一般的で、漢方では、肩こりの症状と共に、あわせもつ心身の不調も含めて病態をとらえ、その改善をはかります。

うなじのこわばりが強い場合は「葛根湯」がよく用いられる

「葛根湯」というと、”かぜ薬”と思っている人が多いかもしれませんが、筋肉の緊張をやわらげる作用があり、肩こりに使われる代表的な薬でもあります。うなじのこわばりが強いような肩こりに効果が高いとされ、体力のある「実証」の人に向く薬で、特に、比較的急性の肩こりによく用いられます。

そのほか、精神的ストレスが強い人では「気」を巡らせる「桂皮」を含む「柴胡桂枝湯」などが用いられたり、冷えると痛みが強くなる人では「桂枝加朮部湯」が用いられたりします。
女性の場合、月経異常や更年期障害との関連があるようなら、「桃核承気湯」「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などの「駆瘀血剤」もよく使われます。
また、肩関節の動きが制限されて腕が上がらなくなる「五十肩」には「二朮湯」などが用いられます。

こんな肩こりは要注意

肩や首のこりや痛みは、頚椎などの病気の症状として現れることもありますが、次のような時は、一度整形外科を受診してください。
●痛みがだんだん強くなる
●首から方へ痛みが走る
●寝ていてもい痛む
●痛みやしびれが手のほうまで及んでいる
●腕に力が入らなくなった
●手の感覚が鈍くなった
●手指の動きがぎこちなくなった
●胸や腰、背中の痛みをともなう

腰痛、下肢通(座骨神経痛など)

薬物療法のひとつとして漢方薬が用いられる

腰痛は最も多くの人が訴える症状で、高齢になるといっそう増えてくる症状です。腰椎で神経が圧迫され、座骨神経痛などの下肢通をともなうこともあります。

西洋医学では消炎鎮痛剤を中心とした薬物療法、腰痛体操などの運動療法、温熱療法、牽引療法などが行われています。そうした治療で改善がみられず、神経障害が重い場合には、手術が行われることもあります。

治療の中心は薬物療法ですが、痛み止めとして広く使われている非ステロイド抗炎症薬は胃腸障害が出やすく、特に高齢者では長期に使うと問題になりがちですが、漢方薬は、そのような人の痛みの遅漏にも適するといえます。

冷えがあれば体を温めて痛みを取る

中高年胃に多い「腎虚」とみられる腰痛・下肢痛には冷えをともなう事が多く、「八味地黄丸」や「牛車腎気丸」など、体を温めて痛みを取る「附子剤」がよく用いられます。

「血虚」がある場合は、手足の冷えが強ければ「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」が用いられ、冷えがあまりなければ「疎経活血湯」が用いられます。また、「瘀血」が」あれば「桃核承気湯」などの瘀血を改善する薬(駆瘀血剤)が「証」に応じて用いられます。

冷えがある人に使われる「附子剤」

生薬の「附子」が含まれる漢方薬を総称して「附子剤:と呼び「附子」は体力が低下した「陰証」の人の冷えや痛み、、むくみなどを改善する作用を持つとされます。

腰痛、関節痛、神経痛などに用いる附子剤としては、「桂枝加朮剤湯」「八味地黄丸」「牛車腎気丸」「大防風湯」が代表的です。また、痛みや冷えが強い場合には「附子」の単剤を加えることもあります。

こむら返りの特効薬「芍薬甘草湯」

急激に起こる、筋肉のけいれんをともなう痛みに有効とされる「芍薬甘草湯」は、古くからこむら返りの特効薬としてしれれてきました。最も即効性のある漢方薬のひとつで、こむら返りが起きた時にのむと、ずぐに効果が表れます。

肝硬変の患者さんには頻繁に筋肉の痙攣を起こす人がいますが、近年の西洋医学的な研究で、そのような場合に「芍薬甘草湯」を飲むと頻度の低下などの効果があることも分かってきました。

頻尿、排尿困難、残尿感

加齢とともに増える排尿の悩み

高齢になると、トイレが近い(頻尿)、尿が出にくい(排尿困難)、排尿し終わっても尿が残っている感じがある(残尿感)などの排尿トラブルに悩む人は非常に多くなります。

急性の場合は、尿道炎や膀胱炎などの尿路感染症が、」まず考えられ、細菌感染が原因であれば、抗菌薬による治療が行われます。

慢性の場合は、腫瘍や結石などにより尿路に狭窄や閉塞が生じて起こる場合もありますが、多くを占めるのは過活動膀胱です。過活動膀胱とは、突然強い尿意が起こって我慢できなくなるもので、さまざまな原因で起こりますが、原因のはっきりしないものも多く、加齢にともなう変化が関係すると考えられています。
また、高齢の男性に多い前立腺肥大証でも排尿困難や残尿感が起こりやすく尿を出し切れないために頻尿になることもあります。

西洋医学では、頻尿にたいしては膀胱の過敏性を抑える「抗コリン薬」が、前立腺肥大症にともなう排尿障害には膀胱の出口の緊張をゆるめる「α遮断薬」などが、症状の改善のために用いられていますが、副作用のため、これらが使いにくい人も少なくありません。

漢方薬も、また症状の改善のために用いられ、西洋医学的な治療との併用も良く行われています。

慢性的な頻尿には、主に「腎虚」を改善する薬を用いる

急性の炎症がある場合には、抗菌剤と合わせて「猪苓湯」や「竜胆瀉肝湯」などが用いられることがあります。

慢性的な頻尿は、主に「腎虚」ととらえて治療を行います。「腎」には生命アレルギーである「気」を蓄える働きがあり、その働きが衰えた「腎虚」になると、排尿障害や腰痛、気力・精力の減退などが現れます。
「腎虚」を改善する薬としては「八味地黄丸」「牛車腎気丸」などが代表的で、近年の西洋医学的な研究でも、前立腺肥大症や高齢者の頻尿、特に夜間頻尿に対する有用性が明らかにされています。
そのほか、「気うつ」がある人では「精心連子飲」「血虚」がある人では「猪苓湯合四物湯」などが用いられます。

「腎虚」を改善する薬

「腎」の働きが衰えた「腎虚」に用いる薬を「補腎剤」といいます。代表的なくすりが「八味地黄丸」で、頻尿、排尿困難、残尿感などの泌尿器科系の症状のほか、下半身を中心とする冷えや倦怠感、腰などの痛みがある様な人が典型的な適応です。

その他の補腎剤としては、「八味地黄丸」の「証」に加えて、むくみやしぶれが強い場合は「牛車腎気丸」が、皮膚の乾燥や手足のほてりがある場合は「六味丸」が向くとされています。