便秘

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常習性便秘のほとんどは腸の働きが悪くなって起きる

排便は毎日なければ異常というものではありませんが、便が硬くてスムーズに出なかったり、腹痛やや不快感などがある状態を「便秘」と呼んでいます。
便秘の中には、大腸がんなどの病気が原因でおこる「器質性便秘」もあり、その鑑別は必要ですが、そうした病気の無い常習性の便秘は、殆どが腸の働きが悪くなって起こる「機能性便秘」です。

機能性便秘は、「視感性便秘」と「けいれん性便秘」の2つのタイプに大きく分けられます。

●弛緩性便秘
大腸の緊張が緩んで蠕動運動が弱くなり便がうまく運ばれていないために起こります。高齢者や腹筋の弱い女性、肥満している人に多いタイプ。運動不足や食物繊維不足、ダイエット、便秘を我慢することなどが原因になる。

けいれん性便秘
大腸のぜんどう運動が強すぎて、収縮した腸管がくびれたりして、便の通りが妨げられるために起こります。
若い人に多く、兎の糞のようなコロコロした硬い便が出るのが特徴で、ストレス、睡眠不足などが原因。

西洋医学でもどちらのタイプの便秘かを客観的に調べる検査法はまだなく、判別がつきにくい場合もあり、女性の場合はホルモン分泌の変動も血流に影響し、骨盤内や腸壁に血液がうっ滞すると、便秘が起こりやすくなります。

便秘の解消には、生活習慣の改善とあわせて薬をつかう

機能性便秘の解消には、まず排便習慣の改善、食物繊維の多い食事、適度な運動などが大切で、それでもつらい場合に薬を使います。

西洋医学では、腸を刺激して排便を促す薬や、腸内水分量を増やして便を柔らかくし、排便しやすくする薬や、肛門から注入して腸を直接刺激する浣腸薬などが用いられます。

漢方では「大黄」を含む薬を体力などによって使い分ける

便秘に対する漢方治療は、機能性便秘が対象になり、漢方では便秘は「気逆」「気虚」「瘀血」「血虚」「水滞」など、「気血水」のさまざまなバランスの乱れから起こると考えられています。

治療の中心となるのは「大黄」という生薬を含む漢方薬で、「大黄」には腸を刺激してぜんどう運動を促す作用があり、西洋医学でも刺激性下剤のひとつとして使われています。漢方では、単に排便を促すだけでなく腸管を温めたりうるおしたりする生薬の作用も生かして、腸の働きを整えるようなさまざまな処方があり、体力やあわせもつ病状によって使い分けられます。

代表的な処方が「大黄甘草湯」

便秘に用いられる代表的な漢方が「大黄甘草湯」です。近年の研究でも、便秘に対する有効性が改めて証明され、便秘以外に特に症状がなく、体力が中等度以上のひとであれば、まずこの薬を使うのが一般的です。

●実証の場合

体力があり、胃腸が丈夫な「実証」の人では「大黄」と共に「芒硝」という生薬がよく使われます。
「芒硝」は天然の含水硫酸ナトリウムで、便の水分量を増やして柔らかくする作用があり、代表的なのが「調胃承気湯」で、腹部膨満感をともなうなら「大承気湯」、女性に多い「瘀血」がる場合は「桃核承気湯」や「大黄牡丹皮湯」などがよく用いられます。
そのほか、上腹部が張る様な感じのある人では「大柴胡湯」、のぼせ気味で顔面充実のある人では「三黄瀉心湯」などがよく使われます。

虚証・虚実間証の場合

より体力がなく胃腸が弱い人の便秘には「大黄」とともに、その刺激を柔らかくする生薬が配合され、腸を温めたりうるおしたりする処方が用いられます。「虚証」の場合は「麻子仁丸」「虚実間証」の場合は「潤腸湯」が代表的です。特に腸が乾燥して便が硬くなりやすい高齢者には、これらがよく用いられています。

ただし、「虚証」の人では「大黄」は刺激が強すぎて腹痛が起こることもありますので、そういった場合には「大黄」を含まない薬が選ばれます。主に、血流を改善して腸を温めるような薬を使って、腸の働きの改善をはかります。
冷えや腹痛をともなうような人では「大建中湯」や「小建中湯」「桂枝加芍薬湯」などがよく使われます。

漢方薬を使う場合も、便秘を招きやすい生活習慣の改善は欠かせません。漢方では食べ物もなるべく暖かいものをとるようにし、お腹を冷やさない服装を心掛けましょう

痔の漢方治療

便秘がちな人には、痔の悩みも少なくなく、便秘は痔を悪化させ、痔があると排便を我慢して悪循環になります。痔に使われる薬として漢方で代表的なのが「乙字湯」で、血の巡りを良くして肛門周辺のうっ血状態を改善し、特に「いぼ痔」の治療に適しています。
痔の痛みには「紫雲膏」という塗り薬もあり、痔の出血があるときには「三黄瀉心湯」などが用いられます。

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