胃もたれ、食欲不振、胃痛、胸やけ

検査で異常がない胃の不振と漢方の有効性

胃がもたれる、食が進まない、胃の痛み、やける感じなど、胃の不調と思われる症状はいろいろあり、その中には、胃がんや胃・一二̪指腸潰瘍のように、西洋医学的な治療を優先すべきものが含まれていることもあり、まずは検査でその鑑別をすることが大切です。

また、胸やけを感じている人の中には、胃酸が食道に逆流する「胃食道逆流症」もみられ、これには、食道に炎症や潰瘍などの病変がある場合(逆流性食道炎)と、病変の無い場合(非びらん性逆流証)が含まれ、内視鏡検査によって診断します。

検査で特に異常がないのに、慢性的に胃の不調が続くものを「胃腸症」といい、以前は「慢性胃炎」とか「神経性胃炎」などと呼ばれていたもので、この胃腸症や 非びらん性逆流証 には、漢方が向いています。

漢方では健康を維持するうえで胃腸の働きを重視しており、胃腸の調子を整える漢方薬が多くあります。近年は西洋医学的な方法により、その有効性を検証する研究も進んでいます。

多様な働きが確かめられた「六君子湯」が代表的な薬

「胃腸症」の大きな原因は、異の運動機能の異常で、異の運動機能とは、口から入ってきた食べ物を貯留し、蠕動運動によって食べ物と胃液を混ぜ合わせ、ドロドロになった食べ物を十二指腸に送り出すというものです。

食べ物が胃に入ってきたときには、胃がリラックスして拡がることが重要で、胃がうまく広がらないと、貯留機能に支障がでて、少量の食事で直ぐに万腹になってしまいます。そうなると、かくはん、排出機能も低下して、胃もたれなどが起こりやすくなります。

漢方薬の「六君子湯」は、近年の研究により、胃腸の平滑筋を弛緩させて胃を広がりやすくさせることが分かってきました。胃の貯留機能の改善は、かくはん、排出機能の改善にもつながります。

また、食欲を増進させる「グレリン」というホルモンの分泌を促す働きもみられ、これが食欲不振の改善に役立ち、さらには、胃粘膜の血流を改善して、粘膜を保護する効果もあり、一つの薬で多様な効果が得られるのも漢方薬の特徴と言えるでしょう。

こうした効果が明らかにされてきたことで、「胃腸症」の漢方治療では「六君子湯」が代表的な薬になっています。

体質や症状に応じて漢方薬が選択される

もともと「六君子湯」は、配力が低下した「虚聰」で冷えやすい「陰証」の人に向く薬で、胃腸が弱くて、疲れやすく、みぞおちがつかるような感じのある人の胃腸の不調に用いられてきました。漢方では、ほかにも「胃腸症」などの症状を改善するような薬がたくさんあり、体質や症状に応じて使い分けられます。

例えば、胃もたれや食欲不振が中心でも、より胃腸が虚弱で、冷え性のある人には、「人参湯」が用いられたり、下痢がちな人では「平胃散」が用いられたりすることもあります。

また、胃痛に対して使われる薬としては「安中散」「半夏瀉心湯」「黄連解毒湯」などが代表的です。胸やけなどには「茯苓飲」「半夏瀉心湯」「黄連騰」などが用いられます。
いずれも、漢方では、ひとつの薬でいろいろな症状を改善することが期待できるので、あわせもつ症状も含めて医師に伝え、合う薬を選んでもらうことが大切です。

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