「五臓」の働きの失調から異常を知る

変調の原因が特定の臓器にある場合は「五臓」による診断が役立ちますが、漢方でいう「五臓」とは、解剖学的な内臓ではなく心身の機能面から「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分け、その働きの失調から病気をとらえます。

例えば西洋医学でいう肝臓は消化器の一つであり、食物から得た栄養素の代謝や有害物質の解毒、胆汁の分泌などを行っている臓器になりますが、漢方でいう「肝」は「血」を蓄えて全身に栄養を供給するとともに、筋肉を支配して緊張を維持したり、怒りの感情をコントロールしたりといった働きをするものと考えられています。
同様に「心」「脾」「肺」「腎」も、心臓、脾臓、肺、腎臓の働きと共有する点はあるものの、単に一つの臓器の機能を指すわけではありません。

「六病衣」によって病状の変化をみる

急性の感染症のように病状が移り変わっていくものでは、「六病衣」に基づく診断が行われることもあります。「六病衣」とは、行基の始まりから最終状態まで、変動する病態を6つの病気に分けて、どの段階にあるかを見て行くもので、「太陽病・少陽病・陽明病」の3つの「陽病」の時期があります。

病気の進行のステージ分類のような概念ですが、漢方では、病気の原因に関係なく、病気と闘う体の反応パターンによって分類されています。例えば、風邪なら引き初めの悪寒、発熱、頭痛がある時期は「太陽病」、こじれて咳が残り、食欲がない時期は「少陽病」と変化し、漢方薬の処方も変わります。

漢方治療を行う際には、こうした”証を見る”ものさし”をいくつか組み合わせて、一人ひとりの患者さんの状態をとらえていくことになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です